昨年2月 北京で冬季オリンピックが行われましたが、その終了後パラリンピックの開催直前の2月24日、突如ロシアがウクライナに侵略を開始しました。日本人は「まさか」でウクライナ人は「またか」という認識でした。
ロシアの思惑と違ってウクライナはゼレンスキー大統領の指導の下善戦し、キーウ周辺や東部地域でロシア軍を国境まで押し返しました。さらに11月には南部の州都ハレキウを奪還、ドニプロ川西岸からロシアは撤退しました。
今回のウクライナ侵略でキーウ近郊など多くの町で、何の罪もない多数の住民を拷問の後、虐殺した跡が発見されています。人道回廊やネオナチからの避難と称してロシア領内に連れ去られたウクライナ人の安否が気遣われます。非常に恐ろしいことですが現実です。私たちもそれなりの覚悟をして、早急にやるべきことをしておく必要があると思います。

 相変わらず新型コロナウイルス感染症の猛威は続いています。6月末に4回目、年末に5回目のワクチン接種を受けられた医療機関関係職員も多いと思います。
相生市一般住民への接種について。65歳以上の高齢者は、7月にすでに3回目接種を90%に終了しています。さらに11月末には4回目を84%に5回目を33%にそれぞれうち終わっています。
一方12〜50歳の住民については11月になっても3回目接種終了者が60%台以下と少ない状況です。さらに5〜11歳の小児は3月からやっと1回目を始め、11月末で2回終了が18%で、もう一つ進んでいません。
10月頃からは第8波が始まった感じがあります。インフルエンザと共に大流行すると言われています。11月から住民対象に5回目のワクチン接種も始まりましたがその効果は過信できません。新型コロナ感染症に対する特効薬も今のところありません。従って今後もうがい、手洗い、手指消毒、マスク着用、黙食、三密(密閉、密集、密接)を避けるなどの感染予防対策を油断せず続けてください。

 あまり良いことのなかった昨年ですが、10月1日の相生市制施行80周年記念式典では多数の当医師会員が表彰されました(当会ホームページに掲載済み)。日頃の医師会活動が少しでも相生市民のお役に立てたという意味で良かったと思います。

 昨年11月8日には月が地球の影に完全に隠れる「皆既月食」が見られました。同時に地球と天王星の間に月が入って、天王星を隠すという「天王星食=惑星食」も皆既月食の途中で見られました。この皆既月食中に惑星食が起きるのは、日本では442年ぶりだそうです。
今回の皆既月食の写真@〜Bは、昨年の相生市民フォーラムでご講演頂いた、鳥取大学特任教授西田信一郎博士が令和4年11月8日に撮影されたもので、許可を得て掲載しました。(※ページ下部に掲載)

  442年前というと1580年=天正8年7月26日に土星食があって時代は安土桃山時代。丁度織田信長が石山合戦(大坂本願寺戦争)に決着をつけたころです。織田信長や羽柴秀吉もこの皆既月食+惑星食(土星が見えたかどうかわかりませんが)を見ていたのかもしれません。
天王星が発見されてから241年しか経っていませんから、今回は人類初の皆既月食と天王星食同時発生といえます。
皆既月食中、月は真っ黒になるのではなく、太陽の光が地球の大気で屈折されて波長の長い赤い光だけ弱まりながらも月に到達して月を照らします。したがって月は赤銅色に見えます。明るい月ですとその周りの星はほとんど見えませんが、月の明るさがかなり暗くなるので、月の周囲に星がいくつも見えるようになります。それを7〜8倍の双眼鏡で見ると、宇宙空間にぽっかりと球体感のある、立体的なお月さんが浮かんで見えて大変迫力がありました。
なお次回皆既月食中に惑星食が起こるのは、322年後の2344年7月26日で土星食になるそうです。次回はちょっと頑張って長生きしても見られそうにないですね。

 流石に300年後の医療がどのようになっているかは皆目分かりませんが、近い将来を見据えながら、これからも相生市を中心とする西播磨地域住民の健康を守るために会員一同尽力していきたいと思います。

 本年も相生市医師会を宜しくお願い致します。

合掌。

令和5年1月1日
相生市医師会 会長 西川梅雄


 
[皆既月食写真]
撮影:鳥取大学特任教授 西田信一郎博士 撮影(令和4年11月8日)

写真@
皆既月食中の月。全体に赤銅色に見えます。周りの星がくっきり見えて月の球体感、立体感が際立って、宇宙空間にポッカリ浮かんで迫力満点です。月の左下(6時半付近)に見える小さな星は天王星。

写真A
皆既月食中の月。月の左下(6時半付近)、今まさに月が天王星の前を通ることによって、天王星が隠されるところです。

写真B
写真Aの月の下部を拡大。天王星が月に食い込んでいるような感じに見えます。